料理下手と言われている人達の特徴にはいくつかあるけども例をあげていくと①レシピを無視して独創的な味付けを行う。②火を入れ過ぎか入れなさすぎ。③臭みエグミ取りの下処理を行わない。④弱火でなく火力をいつも最大で調理する、とかあたりだろうか。これさえ行わなければ酷い料理はまあできないよ
— takasuka-toki (@takasuka_toki) 2014, 8月 8
この特徴はどれも頷ける。
というのも、私の母親は凄まじく料理が下手な人なのだ。
自分の子ども時代、毎週土曜か日曜のどちらかは大体、母の作るカレーが食卓に並んだ。母が得意にしていた料理だったのだろう。しかし、これが恐ろしくマズいのだ。
まず、母はレシピを見ない。カレールーのパッケージの裏にある超簡単なレシピにさえ目を通さない。あの通りに作れば、まずマズいものはできないというのに…。
自分の感覚で材料の分量を決めるのだが、なぜかいつも水を入れすぎてルーがシャバシャバになるのだ。
そこに毎回、なぜか片栗粉を入れる。
少し煮詰めて水分を飛ばせばいいのに、あのとろっとしたルーを手っ取り早く再現するためなのだろう。
だが、火を弱めることもなく、片栗粉を綺麗に水で溶かすこともせずに投入するので、完成したカレーには片栗粉のねばついた半透明のぶよぶよとした小さく不気味な玉が浮く。
味の薄いルー、火が通りきらずに半生のジャガイモの入ったカレーというだけでもなかなかのシロモノなのに、そこにトドメとして片栗粉。
私はこれを食べるのが苦行にしか思えなかった。耐え切れずに片栗粉を入れるのをやめてほしい、と言ったのだが、水っぽさを誤魔化すためにその後もそれは何度か続いた。
思えば、母の作るホットケーキも綺麗なきつね色のものを見た記憶がない。
これまた牛乳を入れすぎて水のように薄くなったホットケーキミックスを、強火で無理矢理焼いていた。しかも、ひっくり返す頃合いになる前に、とにかく強引んにひっくり返そうとして突き回し、気づけばグチャグチャになっている…。見た目は黒焦げなのに、中は完全に半生のホットケーキはなかなかグロテスクであった。
そういった失敗作としか思えない自分の手料理を、特になんともない様子で食べる母は相当に舌が鈍感なのだろうか…?
自分の食べる分は自分で作る、という自由さは家父長意識の強い父親の支配する堅苦しい家庭環境において許されておらず、狭い台所は母や祖母の領域として存在していた(祖母は毎回母の料理に嫌味を言う)。
私がやるのはのは皿洗い以外は、キュウリをひたすらにスライサーで輪切りにするなどつまらないものばかりで、母は子どもの私にこれといって料理を教えてくれることもなく、かと言って冷蔵庫の中の材料を勝手に使うようなことも文句を言われそうで躊躇われた。
その後、いくらか家庭環境が変化し、自分で料理するようになってから、自分の食べたいものを自分で作れるということが、こんなに面白く楽しく美味しいものだったのか、としみじみ思った。
個人的には、料理をするにはある程度のイメージトレーニングが必要だと思う。
料理をやり始めたころは、クックパッドなどで作りたいレシピを見つけては分量と料理手順をせっせとメモして、それをキッチンで見ながら作っていた。実は、それがいいイメージトレーニングになるのだ。
作るときに流れと完成イメージを掴めているのと、気持ちに余裕ができて、比較的スムーズにいく。
それを繰り返して作り慣れていけば、味付けの目安も感覚としてつかめるようになり、冷蔵庫にある余り物などで適当に何かを作る、ということが気づけば出来るようになった。
母はこのレシピ通りに作って感覚をつかむ、という過程を経てこなかったのだと思う。初っ端から感覚を頼りに作り、そのまま今まできている感じだ。祖母も相当に性格があれだったので、嫁姑間の諍いは絶えなかった。母にしてみれば、ちまちまと料理本などを見て作っている姿を祖母に見せられなかったのかもしれない…。
あと必要なものは、よく切れる包丁と、焦げ付かないフライパン!
これだけで、料理がとても楽しくなる。特にフライパンは洗うのも物凄く楽になる。今はフッ素加工のフライパンが非常に安く売っているので、無理して古いフライパンを使い続けてストレスを感じるより、さくっと買い替えた方がいいと思う。
余談だけれど、私がよくやる手軽なチキンカレーの作り方。
皮付きの鶏肉をぶつ切りにし、鍋で焦げ目がつくまで焼く。
そこに、カットした玉ねぎと人参を投入し、火が軽く通るまで炒める。
あとは水と料理酒、半々くらいで煮込み、頃合いを見てカレールーを入れる。
一人分くらいならあっという間にできる。ジャガイモは剥くのも煮こむのも手間なので入れないようになった。
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