田舎で底辺暮らし

孤独に生きながら雑多にあれこれ書いてます。

なぜ性犯罪に限って、被害者の命がけの抵抗の有無で無罪になるのか

全く意味の分からない判決が出た。

相手は13歳の女子中学生だ。
強姦は親告罪なので、被害者が勇気を出してこの被害を警察に届けたわけだ。
しかし、この結果。

高裁は、中学生が男性と別れた後もすぐに助けを求めずに公園で眠り込んだことを指摘。さらに、男性が抵抗を妨げる暴行や脅迫を行ったとも認められないとし、「中学生は強い抵抗を示していない」と判断した。

残念なことに、この手の性犯罪関連ニュースを見ると、被害者が命がけで抵抗していないから無罪になった、という判決は度々ある。
自分より明らかに力の強い相手に一方的な暴行を受けた際、死ぬ覚悟で反撃しなかったから殴られて当然なんて話はあり得ないのに、性犯罪に限ってはこれがまかり通る。

殺される覚悟で抵抗してないじゃん、どうせ合意でしょ?みたいな判決を見ると、この国で性犯罪を訴え出ることの困難さと、司法の性犯罪者への甘さに目眩がし、腸が煮えくり返る。


私は高校生のころに痴漢にあったことがある。
学校から自転車で帰宅中、ひと気のない道を通っていたら、後ろから同じく自転車に乗ったデブな男に胸を思いっきり掴まれて追い越された。
相手は凄まじいスピードで逃げ去った。
私は恐怖とパニックで、その場に暫く立ち止まってどうすることもできなかった。

私はこの被害を誰にも言いたくなかった。
ただあの道を通って帰っていただけの私が、あのクソデブ野郎に「制服を着た女」というだけのことでひどく貶められたような気持ちになってしまった。

私の被害を他人に説明するのも嫌だった。

太った男に胸をどのように掴まれたのか、そんなことを口にするのが凄まじく屈辱的だった。

クラスメイトには痴漢被害にあった女子生徒が何人もいて、彼女たちは学校に被害を届け出ていたが、教師にかなり詳細に状況説明をしなくてはならないと聞いて、私は誰にもこの被害を告げなかった。

そんな辱めを受けるのは死んでも嫌だと思った。

まして、親に連絡でもされたら、と思うと恐ろしくなった。

一人でひと気のない道を通っていた私が悪いのだ、と誰かに言われるのではないか、ということも怖かった。

そんな風にグチャグチャとした気分が渦巻いて、気持ちが塞いだ。


私は性犯罪の被害者が警察に被害届を出すことだけでも、凄まじい気力がいることを想像する。
今後、被害者を出さないためにも警察に届け出るべきだ、という声をよく見かけるが、他人がその際の苦痛を背負ってくれるわけではない。
セカンドレイプも多く、勇気を出して被害届を出しても、更に深く傷つくというケースは溢れている。


まして、この事件のケースの被害者は13歳という、完全に子どもだ。

そんな子どもを相手に、27歳にもなる男が性行為に及び、すぐに訴え出なかったとか、無抵抗だったとか、そのまま子どもが野外で眠ってしまったことなどを理由に、無罪になるわけだ。
そもそも、なぜ子どもが野外で寝入ってしまうような状況に陥るのだ。

こんなめちゃくちゃな理由で無罪になるのなら、大人が知恵を働かせ子どもに合意であると都合よく言い含めたり脅せば、いくらでも子どもとの性行為が可能ではないか。

子どもが被害者であってもこんな判決が出る国で、成人女性ならどうなるだろう。
一体、どれだけの性犯罪の被害者が泣き寝入りせざるを得ないか。


しかも、この裁判、裁判長だけでなく他も全員が男性だったことに、暗澹とさせられる。


ネットではよく日本は性犯罪が少ないってドヤってるのを見かけるが、この国は性犯罪が少ないのではなく、被害者が警察に届け出にくく、泣き寝入りしたり、性犯罪が立件されないからこんなにも少ないのだとしみじみ思う。


本来なら大人が庇護すべき立場にある子どもなのに、性犯罪に限っては子どもの稚拙な判断力を、大人と同じレベルで天秤にかけるのは、本当に理解に苦しむ。

司法が子どもを性犯罪から守れないような国、少子化で正解だろう。

とりあえず、この判決を出した、三好幹夫という裁判官を忘れないようにしようと思う。


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性暴力

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