田舎で底辺暮らし

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「マッドマックス 怒りのデス・ロード」は、予想以上につらい気持ちになる映画だった

散々話題になっていたマッドマックスが10月21日にレンタル解禁だったので、ついさっきAmazonビデオを利用して見てみました。

マッドマックス 怒りのデス・ロード(字幕版)

マッドマックス 怒りのデス・ロード(字幕版)

  • 発売日: 2015/09/01
  • メディア: Prime Video

400円のレンタルを購入。二日間見られます。
ポチったあとそのままAmazonのサイトで見られるので、超お手軽でした。

見た感想としては、これは映画館でみるべき作品だなぁ、って思いました。
ほぼずーっと車に乗ってて、カーアクション満載でスタントマンやCGを使った映像迫力がひとつの魅力なので、その要素を存分に楽しむには映画館じゃないとダメかもですね。

で、ストーリーですが、予想以上に女性の扱いがひどくて、レイプとか女性への暴力とかそういうのが苦手な人は避けたほうが良いと思います。女性もばんばん死にますし。

白塗りで目の周り黒くしてるウォーボーイズは、反知性の象徴というか、支配者のイモータン・ジョーを神聖化して従属し、何かする度に集団でギャーギャーと意味不明に太鼓叩いたりギター弾いたり、とにかく騒がしい。
そんな中で大隊長のフュリオサの寡黙さにハッとさせられるというか、瞳に知性と強い意志が宿っていることがはっきりとわかります。

この砦での女性たちの扱いは、もう最悪最低ですね。
妊婦は乳房に器具つけられて母乳を搾乳されているし、美しい五人の女達は銀行の金庫みたいな分厚い扉の向こう側に監禁されて男児を生むためにレイプされて妊娠させられる。
股間には貞操帯までつけられていました。
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搾乳されてる女性たちは肥満でそろえたり、貞操帯はドクロマークがついてたりでなんだか作風的にコミカルっぽく描いてますけど、ものすごい抑圧と暴力性ですよ。
しかも、イモータン・ジョーがヨボヨボのジジイで、人前ではわざわざマッチョに見せる装具をつけてコスプレしてるのが本当にぞっとする…。

ショッキングだったのは、すでにお腹がめっちゃ大きくなってる一人の女性が車から落ちてイモータン・ジョーの運転する車に轢き殺されるんです。
しかも、彼女が死ぬとその場で腹を割いて、お腹の中の死んでる赤ん坊が健康な男児かを確かめるっていう、もう女の尊厳とか微塵もない扱い。
彼女たちがいかにモノ扱いかってことなんですけど、もうそれわざわざ映画で改めて見るまでもなく十分知ってますよ、っていう部分でもあるので、またこういうの見せつけられるのしんどいなぁ、ってどうしても思いました。

あと、うえってなったのは、失敗続きのニュークスが絶望して車に乗り込んでるのを赤い髪の女性が発見するとこ。
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性暴力被害の仲間の妊婦が車で轢き殺されてすぐのことなのに、なんでこの女性がこんなにニュークスに優しくするのか理解できなくて、もう既にニュークスはフュリオサたちに一回殺されずに見逃されてるのに、また!?っていう。
仲間の女性が死んだ一要因でもあるニュークスと一緒に寝転んで、唇まで触ってラブシーンめいてて、これは女が他者へ向ける優しさへの妙な幻想がやたら感じられて、げーっ…てなりました。

ニュークスの存在自体は面白いとは感じました。
イモータンのマッチョ社会ではただの使い捨ての存在でさらに役立たずで、自分でその存在意義のなさを受け入れることで、やっと従属することから離れて自分で考えることをするっていう。

フュリオサの故郷の鉄馬の女たち(バイクに乗ってるから鉄馬なのね、と納得)は本当にめちゃめちゃカッコいいんですけど、大半がすぐにイモータンたちに殺されるので、そのショックが大きくてあんまり爽快って感じもなくすごいつらい気持ちで、そのままラストまで突入。

フュリオサが自らイモータンをぶっ殺すのは見どころではあるんですけど、鉄馬の女たちも妊婦も死んで、あまりに犠牲が多すぎて…。
最後、フュリオサは死にかけのとこを男性のマックスに血をわけてもらって助けてもらうし、フェミニズム色が強いなんて声も色々見かけましたが、思ったほど突き抜けてるって感じはしませんでした。
そもそも、シリーズものといえばそれまでですが、フュリオサほどの魅力あるキャラが主人公ではないっていうのがね(見終わってこれってマックスが主人公の必要あったのか?っていう疑問が残った)。

あと、Amazonビデオの最後に特典映像が数分ついていて、これって本編でカットされたシーンなのかよくわかんないんですけど(何の説明もない)、イモータンの五人の女を逃がしたお婆さんがイモータンたちに拷問されたあと、砂漠に死んでしまった妊婦と二人で血まみれで置き去りにされてるシーンが流れてきて、もうずどーんとテンション下がって、「なんで終わったあとにこんなの見せるんだよ」って、ものすごい後味悪かったです…。

フュリオサも鉄馬の女たちもめちゃめちゃかっこいいんですけど、ダメージもでかくて、爽快感より予想以上につらい気持ちになった映画でした。
映画館でみたなら、またちょっと感想違ったのかもですが。
スピンオフで女たちが幸せに暮らしてるとこ見て、ちょっとでも癒やされたいです。