田舎で底辺暮らし

孤独に生きながら雑多にあれこれ書いてます。

志村貴子「おとなになっても」1巻の感想

大人百合ということで宣伝されてた志村さんの漫画が発売されたので、早速Kindleで購入しました。
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小学校の先生をしている綾乃は、久しぶりに立ち寄った行きつけのバーで、朱里に声をかけられる。
二人は初対面ながら意気投合し、そのまま朱里の部屋へ。
キスをしてまた会うことを約束する。
しかし数日後、朱里のバーに現れた綾乃は「夫」を連れてきて……!?
初めての気持ちに戸惑う綾乃と、そんな綾乃に振り回されながらも惹かれる心を止められない朱里。
30代半ばになってもまだ全然おとなじゃない。
胸騒ぎが止まらない、少しビターな大人百合、開幕!
おとなになっても(1) (KC KISS)

あらすじにある通り、浮気というか不倫というか、あんまり気持ちのいい話ではないです。
声かけたレズビアンの朱里が用心しながら綾乃に女もイケる?と尋ねたり、指輪のチェックもして、綾乃も積極的だし、これは恋のはじまり?と思ったら相手は都合よく既婚隠してた無神経で自己中な女でした、というパターン。
レズビアンにとっちゃ地雷も地雷という相手を、なんか好きになっちゃって、これからどうすんのさ、という感じの話。
志村さん、青い花の杉本先輩といいこういう驚くほど無神経なムカつく女を描くの上手いですね(笑)

男のパートナー持ちの女にぞっこんになるレズビアンみたいな設定はわりと百合ものでは見かけるのですが、私含めあんまり得意じゃない人は多いのではないかと思います。
無邪気に二股かけてんじゃねーよっていう読者側のもやもやした思いを朱里も凄い感じてたりそれを綾乃にも伝えるので、そのシーンのおかげでアンフェアな関係ながらも二人の関係の一応バランスはぎりぎり保たれてるかなぁ、という感じ。

朱里と関係持ったことを薄っぺらい罪悪感から無邪気に夫に伝えると言う綾乃にドン引きする朱里。
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女と初めての関係に舞い上がってる陳腐なセリフへのうんざり感とか。
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過去にも彼氏持ちの女と付き合ってた朱里の感想だけど、そのまま綾乃への批判になってたり。
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これ、綾乃の夫も結構出てきます。
二人の結婚生活の様子もあるから、朱里と関係もってるのに自宅では夫に抱きついたり、何食わぬ顔して一緒に生活してるのが生々しくてグロかった…。
綾乃は35で子なしなんですけど、姑からそのこと指摘されてたりもして、本人も子供欲しがってるみたいだし、ヘテロ関係を見るのが苦手って人は結構きついかもしれません。
私はちょっと「うっ…」ってなりました。
朱里が前に付き合って結局男選んだ子持ちの元カノも登場してきて、なんかちょっと色々きつい。
いや、いくらなんでも朱里女運なさすぎじゃね?
それは青い花のふみちゃんもそうだったけど、レズビアンだとあまりに出会いがなくて、こんなしょうもない女と付き合うしかないのか?!

予告だと三角関係が泥沼化しそうな感じですが、一応百合と銘打ってるし男交えた関係でごたごたされても読者的にはついていきにくいから、そこはサラッと流していくのかなぁ。

というわけで、1巻の感想は百合っていうより、既婚者なのに女と初体験しちゃって調子乗ってる女のグロさみたいなのをレズビアン視点で上手く描いてる漫画でした。

あんまり綾乃の魅力がわかんないし、朱里がこの人でなきゃいけないって理由も別にないだろうし自己中な既婚者はやめとけや~ってとこにどうしても行き着いてしまう…。
ここまで無邪気に浮気する女、たとえ別れてけじめつけても、また無邪気に無神経なことやるじゃん!っていう。
正直、レズビアンキャラがこういうヘテロ特権に乗っかってる女に傷つけられていくのを見たくないんですよね…。
三角関係が全員女だったらまだ違う楽しみ方が出来たと思うんですけど。
素性隠した最低な既婚女に引っ掛かるとか、レズビアンにとってこんな仕打ちある?!って感じですし。
まだ序盤で先がどうなるか分からないのでなんとも言えないですけど、2巻ではもうちょっと百合的に楽しめたらというか朱里がひどい目に合わないでいてくれると良いな…。

おとなになっても(1) (KC KISS)

おとなになっても(1) (KC KISS)