田舎で底辺暮らし

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女と女の殺し愛「キリング・イヴ」S1の感想

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先日、U-NEXTで一気に見た「キリング・イヴ」S1、全部で8話(一話45分くらい)と、結構短め。

イギリスの情報機関で働いてるイヴ(サンドラ・オー)と、ある組織の暗殺者としてヨーロッパのあちこちで華麗に「仕事」をするヴィラネル(ジョディ・カマー)の攻防を描いたスリラー。

イヴは仕事でとある殺人事件の犯人を女性だと断言しますが、周囲には鼻で笑われる始末。
どうしても事件の真相が知りたいイヴはその事件の目撃者が入院してる病院に潜り込み、不当に聞き取り調査をしようとしますが、イヴが病院のトイレに行っている間に目撃者は口封じのために殺されてしまい、その責任から仕事をクビになります。

そこを有能な女性上司に拾われ、極秘捜査チームに入ることに。
そこから本格的に謎の女性暗殺者を追っていく、という話です。

殺人シーンが多いんですが、とてもオシャレというか、音楽の演出もよくて、所々にユーモアがきいてて笑っちゃう部分もあったりして(しかもそれが全く不自然じゃない)、シリアスすぎない不思議と明るいドラマでした。

人を殺すことに何の躊躇いもなく、何やら過去に訳ありなヴィラネル。
作中ではサイコパスとして扱われ、ヴィラネルを監督する組織側のおっさんも、ヴィラネルが積極的に「仕事」として殺人をやるたがるというか、過剰に人を殺したり目立つ行動をとる奔放な彼女に手を焼く状況。
ヴィラネルは自分を追ってるイヴの存在を知ると、彼女に対して異様な執着を見せ始めるのですが、これがなんつーかエモい!
イヴのドレス選びを正体隠してこっそり手伝ったり、高いブランドの洋服や香水を一方的に送りつけたり(しかもこれがイヴの体型にぴったりで似合っている)。
殺人者と捜査官なのに、殺人者の方から積極的に近づいてくる。

イヴもこの仕事が天職ではあるものの殺人鬼マニアみたいな側面があって、ただの犯人とは割り切れない殺人鬼ヴィラネルへの奇妙な愛憎(一種の憧憬?)のようなものを抱いてというか…。

面白いのは、捜査官のイヴの方が私情からヴィラネルを殺したがってて、ヴィラネルの方はイヴに執心してるものの殺意はないっていう、立場と逆の思惑で追っかけあってることです。

5話で二人が会遇するシーンがあるんですけど、二人の間に蠢く何とも言えない濃密な感情のやりとりが無言で行われてて、ヤバい!
女と女でこういうのめっちゃ見たかったやつじゃん…。

しかも、ヴィラネルはセックスの相手は男女問わないようで、どちらともラブシーンがあったり、元カノが登場したり、そういうあたりも百合的には美味しかったです(ヴィラネル、ワンナイト的な女性にイヴそっくりな格好をさせて、イヴと呼んじゃっててかなりぶっ飛んでる)。
イヴは優しい夫との二人暮らしなんですが、ヴィラネルとの濃密さの前ではこれに敵うものはないのは明白ですし、仕事にのめり込むイヴとは対象的な「家庭的」な夫として描かれていて、今までよくあった男女の設定を上手く反転させててストレスフリーです。
(ただ、作中にレズビアンかどうかイヴが友人兼同僚と話すシーンがあるんですけど、そこの翻訳が「そっちの趣味はない」になっててダメダメだった…英語じゃそんなこと言ってないだろうし残念すぎる)

あと、女たちがメインの話ということで、男らが威圧的に振る舞う滑稽さみたいなのもかなり上手く表現してて、そこも良かった。
いきなり触ってくるジジイに、まともなこと言うヴィラネル。
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まぁ、このあと普通に殺しちゃうんですけどね。

イヴの上司なんかもそうですが、物語に絡む主要なポジションに女性たちが上手くキャスティングされてて、今までならよくあった「あー、この役が女性だったらよかったのに」みたいなストレスがなくて、女性二人主人公に据えるだけじゃなく、女達のいいドラマを作るっていう繊細な気遣いみたいなのが凄く伝わってきました。

最後もなんか急激にやべー展開だけど、ちょっと笑えちゃうっていう。
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この二人の壮絶な殺し愛、本当最高でした。

S1を見た人間はすぐさまS2が見たくなるはずなのに、なぜかどこもS2 を配信していないという地獄…。
次は一体いつ配信されるの!?