田舎で底辺暮らし

孤独に生きながら雑多にあれこれ書いてます。

高校野球の「女子マネージャー」という奇妙な存在

甲子園の時期ですが、ちょっと話題になっていたこの記事について。

男子の部活における女子マネージャーというのは、私からすると本当に謎だらけの存在だ。
私がいた中学・高校ともに、男子の部活に女子マネージャーはいなかった。
(女子の部活に女子のマネージャーはいたけど)
女子マネージャーを公認している学校って多いのだろうか?

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 チーム内で“まみタス”と呼ばれ親しまれる三宅麻未マネジャーは、記録員としてベンチに入った。おにぎり作り集中のため、最難関校受験の選抜クラスから普通クラスに転籍したほどで、「頑張っておにぎりを作ってきたことが報われて、本当にうれしい」と勝利にニッコリ。守屋は「いつも気を使ってくれる。まみタスを日本一の女子マネにしてあげたい」と誓った。
http://www.nikkansports.com/baseball/highschool/news/p-bb-tp3-20140812-1349576.html

 春王者を沈めた力の源はおにぎりだ。肉体強化のため、ナインは練習中に5個以上食べる。三宅麻未マネジャー(3年)は2年間で約2万個を握り、「もうおにぎりは見るのもイヤ!」と笑うほど。その苦労が選手の体重を軒並み5キロ前後増やし、投手陣の球威増と打線の強打連発につなげた。指揮官も「すべておにぎりのおかげですよ、本当に」としみじみ感謝した。
http://www.nikkansports.com/baseball/highschool/news/p-bb-tp3-20140812-1349504.html

なぜこの部活はおにぎりを外注しないんだろう…
どう考えても、これは女子生徒がやるマネージメントの範囲を超えていると思う。
部員と同じ立場の学生が、おにぎりを作る時間がないから、と自分のクラスと進学先のランクを下げてまでやることではない。
他人が食べるおにぎりの世話で進学先のランクを落とすなんて、野球部の部員たち、そして周囲の大人たちは彼女の無償労働と自己犠牲をどう考えているのだろう。
自分で食べるものなのだから、本当ならば選手自らが用意するか、部員の保護者や関わる大人たちがサポートすべきだ。
彼女が将来、おにぎり職人になるのならばいい修行かもしれないが。
女子マネの滅私奉公を美談にする日刊スポーツの記事にもげんなりする。

どうやらこの野球部、かなり大人数が在籍しているみたいで、そこまで他人に世話をさせたいのなら、新入りの部員たちが手分けして作っても問題はないだろう。
そのほうが負担も少なく、ずっと効率的だろうし。
でも、なぜか「女子マネージャー」という特異な存在の女子生徒が、男子部員らの食べるものの世話までしてやっている、という現状。
これって「一生懸命、女子がにぎったおにぎり」という価値以外に何かある?
女性社員のみがお茶くみやお酌など、日常業務とは別に細かい雑事を「女だから」と押し付けられる現状と大してかわらんような…。

未成年の女子学生が、おにぎり程度のことでここまでの自己犠牲を払って、将来の進路を狭めるというのは、男女を逆にして考えたら、その歪さがよく分かると思う。美談どころではない。
まず、女子部員を世話する男子マネージャーなんて聞かないしね。
長いこと根付いている「女が男の世話を無償でする」という価値観を、気づかぬうちに女性側も強固に内面化していることが多い。

このくらいの年頃の子だと、活躍する男子運動部のマネージャーというのは承認欲求がかなり満たされるものなのかもしれない。
今回は運良くマスコミに注目され、脚光を浴びたが、後々、受験を失敗したり進路に後悔しても、自己責任になる。
いい青春の思い出にするには、あまりにハイリスクな青春の思い出だと思う。
大人たちは、そのリスクをちゃんと指摘してあげたのだろうか?…疑問。

なんというか、働く女性が結婚・出産を機に家事育児に追われ仕事が難しくなり、退職に追い込まれ、結局元のキャリアには戻れない、しかし夫は素知らぬ顔、というような女性の社会問題の縮図のように思える。
周囲からは好きでやったことでしょ?と言われ、口を封じられるのだ。

ヒエラルキーの高い一部のマッチョな運動部の「女子マネージャー」というまるでママ代わりの存在を見ていると、女に奉仕されることに慣れた部員たちが将来的に、家事育児を率先してやるのだろうか?と考えて、ちょっとぞっとした。

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