田舎で底辺暮らし

孤独に生きながら雑多にあれこれ書いてます。

じゃあ「気持ち悪い」と言えなくなるまでポリコレ棒で殴られて下さい。

ツイッターで流れてきたこの記事。
withnews.jp

ポリコレ棒で殴られる!差別的な本音を垂れ流せなくなって苦しい!って、マジョリティのヘイト感情を「苦悩」みたいに語るのはもう腐るほど見てきたけど、まぁこれもご多分に漏れずそんな内容で、マジでこれ読んでどうしろと…?って感じ。

そもそも冒頭から意味不明。

セクシュアルマイノリティの当事者が、メディアに出て苦悩を語ることが増えました。でも、逆はあまり聞きません。つまり「LGBTが理解できない」という人の心の中です。

全然、「逆」じゃねーー!!
なんでセクシュアルマイノリティ当事者の逆が、LGBTが理解できない人になるんだよ。
L・G・B・Tでも他のセクシュアルマイノリティに偏見のある人はいるし、ヘテロでもセクマイに親和的だったり理解のある人はいるだろうが。
なんかもうここから謎。
(あと、セクマイが語る機会増えたつったって、男性同性愛者がちょこっと取り上げられる程度じゃん)

ほんでインタビューの相手が「Bさん。43歳。東京都内の会社に勤める男性」なのだが、この人のアンケート回答

理解不能。気持ち悪い。この手の議論に関わるLGBTの人は非寛容で被害者意識が強いように思う。

って、このおっさんがまず非寛容で被害者意識が強いってツッコミどころありまくりなのに、スルーされてんのはなんなの。
これこそがまさにマジョリティ特権じゃないの?

東京が生活圏で40代の大人のゲイ当事者へのイメージが

正直に言うと、騒動になったフジテレビの『保毛尾田保毛男』のような人が来ると思っていたんです。

ってのが、もう頭抱えるというか、メディアでの偏見まみれの嘲笑がどれだけ害悪で、しかも未だに維持されてるって現状のヤバさがあるのに、そこもスルー。

保毛尾田保毛男ネタ(なんでこの男性はこんなに保毛尾田保毛男にこだわるのか)などへの批判が、

後になって『あの時傷ついた人に気付けなかったあなたは罪人です』と言われると、『うち実家の花畑はキレイだなあ』と思っていたら、いきなり戦闘ヘリが飛んできて機銃掃射で荒らされる、みたいな気持ちになるんですよ

ここまで、被害者面なのは一体なんなのか。
偏見まみれの表現をやっと表立って批判できるようになったら、当時そのネタで嘲笑していた自分たちは傷ついてしまうとか言われても知らんがな!
ステレオタイプの刷り込みは相手に失礼ですよね、って自分で言ってるし、そういう偏見が害悪だって染まりきってる自分自身が物語ってるじゃん。

またその嘲笑ネタを『うち実家の花畑はキレイだなあ』と表現するナルシシズムも、差別表現への批判を『戦闘ヘリが飛んできて機銃掃射で荒らされる』という超ナイーブな自意識過剰さも、まさにマジョリティ特権そのものって感じ。
マイノリティを嘲笑っていたおバカで純朴(!)な少年時代の思い出をこの先も美しく維持し続けたいから、マイノリティ当事者は黙ってろって言われても、そんなの自分自身の差別感情をこのおっさんが自覚して、差別しないよう克服するしかないでしょ。理解できないとか言われたって、そんなの差別する側の問題なんだから。

てか、こんなヘイトはネットやってたらいくらでも見かけるし、ツイッターで議論気取りで粘着してくるクソリプも随分体験してきたけど、ほんのちょっとマイノリティの可視化が進んだくらいで、現状いくらでも溢れてるマイノリティ当事者を抑圧し続けているヘイト感情抱いてる人間を「ね?こういう本音があるんですよ?」とかって訳知り顔で紹介して記者の人は何がしたいのかわけが分からん。

異性愛が普通だと教わって育ってしまったから、全く悪意のない、うっかり吐いた言葉が『差別だ』と炎上することがある

差別に悪意の有無は関係ないし、そんなに怖いんならいい加減学習して何が差別にあたるかアップデートしろよ…。
悪意がないとか言いながら、こんだけ言い訳並べ立ててんだから、十分なにが悪いか分かってるじゃん!
これだけ分かってて「異性愛が普通」だのなんだのまだ言うって、それって十分悪意じゃないの?
なのに、ポリコレ棒で殴られるとか、ほぼほぼ死刑宣告とか、なにその死の軽さ。
日本でポリコレ棒で殴られて死んだ人って誰よ。
この男性自身こうして穏やかに差別感情垂れ流してピンピンしてんじゃん。

このインタビュー相手の男性が明るく温和な態度であろうと、言ってることは差別的だってことに変わりないわけで、いちいち「差別するつもりじゃないっぽいですよ~」って免罪符つけようとしないでください。

じゃあもう怖いから、何も関わらない方がいいとなってしまう。でもそれじゃあ、苦しんでいる当事者に対する偏見は消えなくて、ますます当事者は苦しみますよね?

学習してアップデートする気もなく、未だに自分の世代はコレが普通!ヘテロ至上主義!保毛尾田保毛男ネタで笑いたいとか言われても、そんなのにいちいち付き合えないし、せめて大人しく黙ってろよ、こっちくんな…って感じなんだけど。

そして、記事の最後がこれ。

ただ、「Bさんと会って、話して、よかったな」と思ったのは、たしかです。

はあ?
この記者の人はヘイト垂れ流すありふれてるマジョリティおっさんに対して、ふんふん話聞くだけで批判や指摘もなく、結局何がしたかったんだ?
本気の本気でLGBTはキモい、人権問題はポリコレ棒でウザい、ホモネタで笑い続けたい…と言えなくてひどく苦悩してる人々がいます!って感じなの?マジなの???
いくらでも見かけるマイノリティへのヘイト感情を隠れた本音みたいに紹介できる超恵まれてる人生のラッキーな記者さん、どこまでも他人事でよかったね☆

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