昨晩は、クローズアップ現代「犯罪を繰り返す高齢者 ~負の連鎖をどう断つか~」をみた。
全国の刑務所で入所受刑者の高齢化が加速している。
65歳以上の受刑者は20年前の5倍、2200人に上っている。
そのうちの7割が何らかの病気にかかっており、柔らかい食事の提供など介護施設のような対応が必要だ。
重症化した受刑者を頻繁に外部医療機関に移送するため、保安職員の配置が必要となり、通常の業務に支障が出ている。
問題の根にあるのは、高齢者の多くが社会的に孤立し、出所しても犯罪を繰り返してしまっていることだ。
犯罪グループによって振り込め詐欺に加わるよう誘い込まれているケースもある。
こうした事態を食い止めようと、司法が取り組みを強めている。
検察は身寄りのない高齢者を起訴猶予にして福祉施設に橋渡しする支援などを始めた。
さらに出所後の高齢者を地域の支援機関に引き合わせる仕組みも動き出している。
居場所を作り、社会的孤立から犯罪に走る根っこを断つ試み。
増え続ける高齢者犯罪の問題を考える。
犯罪を繰り返す高齢者 - NHK クローズアップ現代
府中刑務所の様子が紹介されていたが、高齢者は刑務所内で課せられる日々の労働がむずかしいので、養護の労働場所で簡単な作業を行うのだけれど、手が震えてそれすらも難しそうで、なんともいたたまれない気持ちになった。
高齢者の犯罪の特徴は2つある。
一つは、万引きや食い逃げなど被害の度合いが低い軽犯罪であること。
もう一つは、再犯率がとても高いこと。
しかし、軽い罪であっても何度も繰り返していると刑罰がどんどん重くなるのだ。
出所しても、高齢で前科持ちでは働き口もなく、人間関係の縁は切られていることが多い。
貧困と社会からの孤立から、また万引きなどを繰り返して何度も刑務所に戻ってしまう負の連鎖。
刑期を終えれば外に放り出され、出所後のサポートがなにもないことが大きな原因で、生活保護を受け取るなり、老人ホームに入居するなり、高齢者と刑務所との間に入って支援を行うケアワーカーの紹介があった。
安定した生活の居場所を用意すれば、犯罪に手を染める必要もなくなるわけだ。
しかし福祉への予算がどんどん削られていくような現状って、高齢者の犯罪を喚起してしまう危険もあるわけで、こういうとこにちゃんとお金使ってほしいよなぁ、と選挙で金ばら撒くようなことしてる今の政治にもやもやしながら思った。
刑務所内で認知症を発症する高齢者もいるらしく、刑務所の職員は手が足りないような状況らしい。
ただきちんと数人がかりで食事からおむつまで世話してもらってる受刑者の姿をみていると、正直、素人が行う自宅介護の悲惨な状況よりずっといい環境なのではないだろうか、と思ってしまった。
頼れる人間も金もなくて、老人ホームに入居もできないような状況なら、刑務所に入ってた方がまだ面倒みてくれるのでは、ってことをテレビ見てただけの私でも感じるのだから、追い詰められた老人ならなおさらそう思うのではないだろうか。
実際、番組では生活保護を受給できるということさえ知らなかった男性のケースも紹介されていた。
貧困から軽犯罪を繰り返し、知らぬ間に詐欺グループの片棒を担いでいた、なんてこともあるらしい。
福祉が充実していれば、犯罪に走る必要もない高齢者が貧困から犯罪に手を染めてしまうっていうのは、この社会の落ち度だよなあ…。
でも、今の政治はそういう福祉にお金をかけたくないらしく、なんでもかんでも家族内で面倒みろって流れみたいだし、でもそんな田舎の大家族でもあるまいし、色んな家族事情があって、身内と縁のない人だって多いわけで、もう本当どうなるのかね、とどんよりした。
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