田舎で底辺暮らし

孤独に生きながら雑多にあれこれ書いてます。

完全にバッドエンドだった「かぐや姫の物語」を見た

金曜ロードショーで放送されていた「かぐや姫の物語」をみました。

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要するに、何でもできる超美人(財ももたらす)と、娘の幸せを勝手に定義する父親と、美しさだけしか見えていない金持ちの男たちの悲劇というそういう話でしかないんですけど、予想以上にバッドエンドでした。

感想などはネットなどでちょいちょい見かけていたので、なんとなく話は想像できていたのですが、私の感想をざっとまとめるとこんな感じ。

・何か恋愛めいたものを含ませるような少年少女期の姫と捨丸のやり取りにうんざりした
・少女の初潮でいちいちストーリーを展開させる定番イベント、いい加減どうにかならないの?
・上げ膳据え膳の金持ちのおっさんどもが酔って、姫にまで手を出そうとしてて、現代の飲み会のセクハラシーンそのものであった
・その恐怖の場でスーパーウーマンの姫がおっさんを叩きのめさず、ただ逃げるだけというのが日本のアニメの表現の限界という気にさせられる…
・女童だけが癒し
・女童と姫様の百合でいいじゃないか
・金で(想像の中の)美女を買おうとする男たちの醜悪さ
・豪邸でロハス生活かよ
・アゴ(帝)は完全に性犯罪者である。八つ裂きにせよ!
・姫はその性犯罪の被害にあい、完全にうつ状態に陥った
・姫は宇宙人故にテレポーテーションが使えたので助かったが、普通の女ならば逃げ場などなかった
・月に連れ戻される予感に怯える姫が、爺さんの金と権力を持ってる男に黙って従えばいいという押し付けがましい幸福論が嫌だった、そのせいで「ここにはいたくない」と月に助けを求めてしまった、とはっきり訴えたのに、爺さんの「あれだけ姫のためを思って尽くした私たちを置き去りにするのか!?」って反応に、こいつなんも分かっちゃいねぇ…っていう絶望感
・再会した捨丸は姫の前ではイケメンを装っているが、妻子もいる責任ある身なのを隠してただ欲望のままに不倫に突っ走ったクソ野郎だった(姫がいないとわかると、何でもない顔して子供を抱きしめてる)
・せっかく女性の悲痛をここまで丁寧に表現したのに、琴も絵もなんでも上手いスーパーウーマンの姫が自分の能力で自らの生活をもぎ取ることなく、捨丸という男からの救済展開でテンションが下がる
・キャッキャウフフって飛び回ってる二人にそのまま墜落しろ、って願ってたら本当に墜落したw
・爺さんのせいであれだけ恐ろしい目にあってきたのに、最後の最後まで親だからと優しい言葉をかける姫様が日本の女性観を表してはいる
・姫様は好き勝手に男たちに欲望を押し付けられ蹂躙され、あれだけNO!と言い続けたのに、最後は感情も何もかも忘れて、大仏(男)の横に座らせられて月に帰っていったのでした…


えーと、これを見て女は何を思えと…?

これまでのジブリ作品では考えられないくらい女性の立場におそいかかる被暴力性を丁寧に表現してはいますが、姫様にとってのクソ展開の連続で、もう一度みたい作品にはならないくらい女性への救済が全然ないじゃないですか…。

姫様はそうやって月に帰れる(あれは死んだか廃人になったことの暗喩って意見になるほどな、と思ったけど)だけまだマシってくらいで、実際はそんな逃げ場所のないお伽話より恐ろしい現実にゾッとするというか。

娯楽フィクションはやっぱり何かしら爽快感というか、いい感情になることを求めてたりするわけで、アニメでここまで救いがないと、わざわざ傷をえぐられるために映画みてるわけでもないしなぁ、って思ってしまいました。
現代で、そこまで悲痛なものを描くなら、ちゃんと姫様が自らの手で幸せを掴んで営む姿を見せてくれないとさぁ…。
個人的にはそこまで好みでもないアナ雪でしたが、そういう点では、ちゃんと配慮されたアニメだと思います。

私は姫様が山のターザンと化して、美しいと聞きつけてやってくる侵入者を八つ裂きにするような作品が見たいわけです。
でなければ、いきなり抱きついてくる帝のアゴをへし折るくらいのことしてくれんとさ…。

これじゃ、単なる鬱映画やないか。

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