田舎で底辺暮らし

孤独に生きながら雑多にあれこれ書いてます。

レズビアンカップルのラブコメ映画『ハピエスト・ホリデー 私たちのカミングアウト』の感想

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クリスティン・スチュワートとマッケンジー・デイヴィスがレズビアンカップルを演じる『ハピエスト・ホリデー 私たちのカミングアウト』が、3月3日にデジタル配信されました!
わーい!

海外では去年のクリスマス前にHuluで公開されていて、日本でも公開してくれー!とHuluに問い合わせメールでリクエスト出したりしていたので、公開が決まってから楽しみにしていました。
公開日に早速アマゾンプライムでレンタルして視聴しました。

ちなみに私は字幕版で見ました。
アマプラには吹替版もありますよ。


あらすじはこんな感じ。

恋人の家族に初めて会う時は大変なもの。
恋人ハーパーの実家に向かうアビーはプロポーズを計画していた。
しかし当日、ハーパー自身がレズビアンであることや彼女たちの関係を家族に隠していると知る。
想定外の事態で家族との初めての対面は、ますます大変なものに!
さらに滞在中、アビーは彼女の家族や友人との交流を見て自分が思っていた人とは違うのではないかと疑問を持ち始める…。
初めて会う家族に認めてもらいたい、自分に正直でありたい、そんな様々な思いを家族それぞれが抱えながらも、クリスマスに家族が集まってくる

クリスティン・スチュワート演じる主人公のアビーはクリスマスに両親を亡くした過去があり、クリスマスにいい思い出がないのですが、マッケンジー・デイヴィス演じる恋人のハーパーの強いお願いということもあって一緒にハーパーの実家で過ごすことに。
けど、実際は両親には何も打ち明けてないし、父親は市長選に出馬する予定で母親はそのサポートに回って、なんというか保守的で体面ばかりを気にするリッチ層という感じの家族(両親のいないアビーへのナチュラルな見下しがコメディタッチに描かれていたり)。

ハーパーは父親の選挙を言い訳に、今はカミングアウトできないと伸ばし伸ばし…
愚直で気の優しいアビーはこれもハーパーのためだからと自分に言い聞かせて、居心地の悪いハーパーの家でクリスマスを過ごす決意をするのですが、次々にトラブルが起きて思わぬ形でカミングアウトすることに…って感じのどたばた劇。

まず、レズビアンキャラが主演のコメディ作品がもっと増えてほしい私としては、この作品は嬉しい限り。
保守的な家族へのカミングアウトが大きなテーマではありますが、重すぎず笑いありで楽しめる作品になっています。
同性愛ものって恋人になるまでが描かれがちですけど、アビーがプロポーズのためにこっそり指輪用意して友人から家父長制ネタでイジられたりするようなとこから始まるので、これはちょっと新鮮ですね。

カミングアウトしてからのハーパー一家の流れは定番の流れというか、綺麗にまとまりすぎではあるんですけど、クリスマスものということでハッピーエンドの古典芸が求められてるのに応えてる感じかな。
ただ、そこもカミングアウトと恋人の重要性は比例しないこと、誰もが家族からいい反応をもらえるわけじゃないってことをさらっと入れてて上手い。
そして、アビーの反応も意外性があって、そこも面白い。

一時間半ほどの長さでまとめるとなると色々取りこぼしがちですけど、特にそういうのも感じませんでした。
登場人物が多いわりに一人一人の個性が立っていて、それぞれのキャラたちのつらいとこをちゃんとハッピーなフィクションとして回収して綺麗にまとめていました。

アビーとハーパーのラブコメ感もきっちり出してて、満足度が高いです。
恋人が他の女と歩いてるのみてイライラしたり、夜中に恋人の部屋に忍び込もうとして見つかったり、ママにいちゃついてるのバレないように大慌てで隠れたり、ヘテロものならこてこてな展開なんだけど、それをレズビアン作品で見たかったんだよ!ってのをきっちり詰め込んでくれてました(笑)

あと、キスシーンは多いんですけど、セックスシーンはないのも好印象。
さすが、監督わかってるな~っていう。
(監督、エンディングでちらっと登場してましたねw)

そういえば、日本だと双子生んだハーパーの姉ちゃん(高学歴だが結婚して子育てしながらハンドメイド的な仕事している)の方が親に重宝されそうだけど、この作品では落ちこぼれ的に扱われていて、新聞記者で独身のハーパーが一家で一番期待されてて、ここも新鮮だった。

で、海外のレズビアン作品でいつも付きまとってくる雑な日本語訳問題(レズビアンをレズと蔑称で表記したり)ですが今回はそれもなく、過剰な女言葉もなくてストレス感じずに視聴できました。
※アビーが友人男性と電話でやりとりする早い展開のとこで、ハーパーの家族のことを「レズビアンと会ったことない人たち?」って言ってるのが「よくもそんな」って訳されてて、そこだけが微妙ではありましたが。吹き替えではオリジナルの感じで言ってるみたいです

この作品が日本での公開が決定して広報がされたとき、ヤバいくらいレズビアンを隠そうとする広報内容でTwitterでかなり批判が起こったのを覚えてます。
クリスマスにレズビアンが楽しめるレズビアンカップルのラブコメ作品が作られたのに、そのレズビアンの存在を意図的に隠そうとするってそりゃ怒りを買いますよね(日本ではこれに限らずフィクションでレズビアンの存在を扱うくせにやたら「レズビアン」を隠して透明化したがるという最悪な傾向がある)。
それで、後々変更が加えられたりしたんですけど、あの時のみんなの意見が字幕のニュートラルな感じに影響して反映されてるのかなって感じました。
副題のあれな感じは結局そのままになりましたが。
とにかく、日本でも見たいと声をあげたことやオリジナルをリスペクトして!と批判することは重要だったし、こうやって作品を楽しめることに繋がって良かったなと思います。

あ、これから見る人は、冒頭に流れてくるアットホーム(笑)なイラストで人間関係をよくチェックしといた方が良いかな。
エンディングも楽しいですよ。
てなわけで、おすすめの作品です。