田舎で底辺暮らし

孤独に生きながら雑多にあれこれ書いてます。

「思い出のマーニー」、百合視点からのネタバレ感想

今日、金曜ロードショーでやっていた、百合クラスタとしては外せない「思い出のマーニー」をみました。

いやー、想像以上に百合でしたね!!
実は原作を何年か前に読んだんですけど(当然、百合目当て)、でも朧気にしか内容を覚えてなかったのがかえって良かったというか、かなり楽しめました。



喘息の療養、そしてギクシャクする養母と一旦距離をおくために、田舎の親戚の家でひと夏を過ごすことになった杏奈。
人とちょっと違う、「普通」になれない自分にコンプレックスのようなものを強く抱いていて、親戚の家の近所に住んでる同世代の信子に青みがかった眼の色を褒められたら、ブチ切れて相手を「ふとっちょブタ」呼ばわりという、攻撃的な一面も。
ただでさえコミュ障で、初対面の信子たちとお祭りに行かなきゃいけない杏奈が、褒め言葉とはいえ「普通」とは違う自分のコンプレックスをダイレクトに指摘されて我慢できなくなったんでしょうね。
これ、原作だと信子ポジションの子は信子みたいにお節介な良い子要素よりも、小狡い感じが強かったと思うんですが、田舎の善良さと無遠慮な残酷さを表現したかったのかな。

そこからは無人だったはずの湿っ地屋敷で杏奈とマーニーは出会い、百合まみれなシーンが続きます。

映像だと、やはり結構インパクトあるというか、杏奈とマーニーは一体何度抱擁、愛の告白をすれば気が済むのか、そして杏奈は何度そこら中の草むらで眠りこければ気が済むのか、喘息とは一体なんだったのか。

マーニーの家の華やかなパーティーに急遽呼ばれたはいいけれど、幼なじみの和彦という男とダンスしてるマーニーにイラつく杏奈。
彼女の機嫌をとるために二人でダンスするマーニー…人たらしです。
杏奈とマーニー

ダンスする杏奈とマーニー


嵐の中、怯えるマーニーをサイロ(塔のような倉庫?)で励ます杏奈。
抱き合う杏奈とマーニー

ここで、マーニーは杏奈のことを「和彦」と何度も呼び間違える、あってはならないまさか展開。
和彦って誰やっ!?
あぁ、百合が死んでゆく…。

しかも、マーニーは杏奈を置き去りにしていなくなり、杏奈は怒り心頭。
地雷百合あるすぎるぜ…。

杏奈は激しく涙して「マーニーーーーーーーーーーー!」と叫びながら走る。

湿っ地屋敷で、なぜ自分を置いていったのか怒りのまま問い詰める杏奈は、マーニーに「大好きな杏奈」と呼ばれてあっさり頬を染めるダメっぷり。
杏奈、そいつはお前を捨てた女だぜ。目を覚ませ!
でも、マーニーに「許して」とお願いされ、うるうるしながら許してしまうのでした。惚れた女だものね。

実際は、両親を事故で早くに亡くし、たった一人の身寄りだった祖母もすぐに亡くなり、自分を一人にしたと心のどこかで憎んでたその祖母こそがマーニーの正体で、祖母が幼い杏奈に語った身の上話と杏奈の孤独と想像力が、イマジナリーフレンドのようなマーニーを創りだしたという感じでした。
そして、和彦というのは杏奈の祖父だったわけです。

無人だった屋敷には東京から新しい家族が引っ越してきていて、その新しい住人の女の子・彩香(さやか)の協力などもあって、立派なお屋敷に住んでいても、両親からのネグレクトと使用人たちからの虐待でつらい人生だった祖母・マーニーの人生の真相を知り、また折り合いの悪かった養母とも打ち解ける、というラスト。
(杏奈はおばちゃんとも百合かよ、ってぶっちゃけ思ったよね)

マーニーは杏奈に対して「今まで出会ったどの女の子より大好き」と杏奈に告げるのですが、杏奈はマーニーに対して「誰より好き」と告げました。
これは、マーニーが後に和彦と結婚するから、微妙に違う言い回しになったのか、と。

杏奈の新しい彼女、トンボ…じゃなかった彩香。
杏奈と彩香

彩香の存在があったせいか、マーニーとの百合崩壊でもさほどショックは受けずにすみました。
TLなどでもマーニーとの関係が結局身内だったのとか寝取られ展開とかで色々意見がありましたが、ここまで主人公に恋愛や男性の存在が関わってこなくて、マーニーが消えて杏奈に新しく出来た親しい友人も同性だったというのは嬉しかった。

恋愛によって蔑ろに描かれがちな、女の子たちの間にある濃い絆をよく表現してた良作だと思いますね。音楽もよかったし。

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思い出のマーニー (新潮文庫)

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