評判がいいので見てみたネトフリのドラマ。
実際に起きた事件に着想を得ています。
2008年、一人暮らしをしている少女マリーが自宅に侵入してきた何者かにレイプされる事件が発生。
通報し事件として扱われますが、マリーは幼い頃にひどい虐待を受けて里親の家などを転々とし情緒不安定な傾向があった…と、マリーの元里親が捜査している刑事に告げると、注目を集めるためにマリーがでっちあげたのでは？と、刑事が疑い始めます。
しかもマリーの状況説明に食い違う点が見られ、年配の男性刑事たちの態度はどんどん威圧的になり、マリーに冤罪の「自白」を迫ります。
フラッシュバックや繰り返し求められる被害状況の説明（一話だけで5回は超えてたと思う。加えて、自分でそれを紙に書いて説明しなければならない）にマリーは疲労困憊、自分の記憶に自信を持てなくなり、また刑事たちの脅しに怯えて冤罪を認めます。
とにかく、色んなことが辛すぎる一話。
頼れる身内もおらず、友人たちにも冤罪を非難され人間関係が崩壊、ネットでは槍玉に挙げられ、命を絶とうとまで考えるマリー。
BGMがあるわけでもなく淡々としてるだけに、マリーのしんどさが余計に伝わってくるというか。
二話に入ると、話は急に三年後の2011年に移ります。
大学生の女性がレイプされる事件が起き、このドラマのもうひとりの主人公、刑事のカレンが事件の捜査に乗り出します。
ここからドラマがどんどん動いていくので、とにかく一話がきついけど、脱落せず頑張って二話まで見てください！
カレンは他の管轄の署に務めている夫の話から、偶然に自分が追っている事件とそっくりのレイプ事件が他にもあることを知り、その事件を担当しているベテラン刑事のグレースと合同捜査を開始。
女性刑事二人による熱心な捜査で事件がじわじわと解決に向かっていく2011年のストーリーの途中にちょこちょこ挟み込まれるのが2008年のマリーの様子。
冤罪の罪を被り人生がどんどん悪い方向へ向かっていく対比、最後にカレンとマリーのストーリーがリンクするっていう流れがすごく良くできてました。
劇中では警察の腐敗や捜査の杜撰さ、DVや性犯罪被害の軽視、性暴力と女性蔑視の繋がりとか、ちゃんと批判性を持ってそれらを扱ってました。
デートレイプを繰り返す大学生の男が取り調べを受けるシーン。
彼の言動はかなり分かりやすく「ちょっと無理やりセックスしただけで女がでっちあげて大げさに被害者ぶる、俺のほうが可愛そう」というミソジニー感情に染まっていますが、一話のマリーの過酷な取り調べ（事務的だけどそれでも幾度も被害時の状況説明をして、DNA採取のために念入りな身体検査を受ける。性犯罪への認識も遅れてて男尊女卑もひどい日本だと聴取はセカンドレイプもあったりで酷い状況だと思う）を見ていたら、この男の思い込みがいかにバカバカしいことか…
性犯罪の事実をきちんと暴いて、被害者たちが不安な生活を送らなくて済むようにちゃんと犯人が厳罰を受けること。
それが被害者にとってどれだけ大事か、っていうのをきちんと描いてるドラマでした。
全8話でそれほど長くもないので、見やすいかと思います。
面白くて一気に見てしまいました。
あと、このドラマ、女バディものという点でもかなり面白かったです。
敬虔なクリスチャンで感情の起伏が少ない冷静なカレンと、車いじりと犬が好きで少々口が悪く性格も激情型のグレースのコンビは最初はちょっとぎこちなかったものの、事件解決への熱意と被害者に寄り添う姿勢は同じ。
お互い知恵を絞って、犯人特定に奮闘。
カレンがグレースに憧れを抱いているっていう関係が良かった。
この二人が率いているチームには他にも高スキルな女性の捜査員たちがいて、女性メインの捜査チームを見れるのも嬉しかったです。
なかなかキャラの濃いおばちゃん捜査員。
そして、カレンとグレースはお互い男性のパートナーがいて、カレンは子持ちでそれぞれ家庭があるんですが、女性主人公にありがちな家庭と仕事の両立！みたいなのも特になくて、パートナーが大変だって分かってる男たちは普通に家事育児やってるし、男性刑事ものがそうであるように家庭の存在が捜査を進めていく彼女たちのストーリーのストレスになってなくて見やすかったです。
この二人の事件捜査、もっと見たい～
世の中にはもっと女バディのフィクションが必要だ！
そして、外国でこのレベルのドラマがあれこれ作られてんのに、日本オリジナル作品がフェミニストバカにした女の人権舐め腐ってる男を題材にした全裸なんとかって本当いかにも日本クオリティって感じで改めて虚しいですね…
