田舎で底辺暮らし

孤独に生きながら雑多にあれこれ書いてます。

最近Netflixで観た作品の感想まとめ その10

見終わった作品が溜まっているので、前回の記事と分けました。

ドラマ・映画

ブレッチリー・サークル: サンフランシスコ S1

戦時中に暗号解読員として活躍した女性たちが、その頭脳を活かして戦後、事件解決に挑むドラマ。
今までイギリスが舞台だったが、今回は主要メンバーの二人がサンフランシスコへ移動して、アメリカの元解読員と協力し、女性4人で地元の事件に挑む。
今回は話数が多くて、今回追う事件は基本1、2話完結型。
なので、前作の緻密さに比べるとちょっと大味な印象(特に前半は)。
新しく加わった二人の女性、特に機械いじりが得意な若い女性のキャラがちょっと浮いてる感じがあったけど、ストーリーが進むにつれてキャラが馴染んだり、ストーリーも面白くなった。
5話と6話はアンダーグラウンドで活動するゲイ組織と事件が絡んだり、当時は同性愛が違法扱いだったり、同性愛に関するものがはっきり盛り込まれていた。
しかも、機械いじり得意な女の子がレズビアンだとカミングアウトしたり、前作から引き続きのかっこいい女性がバイセクシュアルと判明したり(でも、今作では刑事と恋仲になる…)。
これはS2に続きそうな終わり方だったので、続編が出ることに期待。

タイプライター S1

インドのホラー。
小学生くらいの女の子が主人公で、それに同級生の男の子二人と女の子が飼ってる犬一匹の幽霊クラブが、地元の超常現象の正体をつきとめるドラマ。
主人公が幽霊オタクで快活でアクティブな女の子で犬が相棒という、いままでなら男子が当然のものとして担ってきた部分を女子バージョンで見られるという楽しさもあって、しかも恋愛ネタがない!素晴らしい。
終わり方が思いっきりS2へ続くって感じだった。
日本人的にはドラマの作りがどことなく昔の古き良きみたいな懐かしさを感じるような、それを現代版としてバージョンアップさせた内容で親しみやすい。
ホラーとユーモラス(子供たちが結成している幽霊クラブとかのわちゃわちゃ)の塩梅がうまくて、ドラマを見ているなぁという安心感がある。
全体的には子供でも見られるような安心ホラーって感じ。
最後はタイプライターの再生能力の高さにちょっと笑った。

デリー凶悪事件

インドの実際のレイプ事件(バスの中で起きた集団レイプ事件。被害女性が内蔵を引きずり出されたりして日本でもニュースになった)を元にしたネトフリオリジナルドラマ。
主人公は捜査を担当する警察署長の中年女性。
集団レイプ事件の6人の加害者を捕まえる捜査過程を淡々を映してるような感じだけど、そこに女性の人権のなさとか、主人公と年頃の娘の関係とか、主人公に憧れる優秀な若い女性警察とか、色々群像劇っぽい感じで見せ方が上手くてどんどん見てしまう。
直接的なレイプシーンを見せずとも時系列、加害者の供述の様子から性暴力の異常性や被害者の恐怖を表現してる演出が本当にうまくて、普通にドラマとしてよくできている。
レイプをセックスといい、女の内蔵を引きずり出して盛り上がっていた男どもが、捜査員に脅されるとびくびく怯えて泣き出すのが物凄い滑稽。
実際の事件を元にしてるだけに、素直に「面白い」と評価できない部分があってなかなか難しい…。
ただ、主人公の署長含め警察賛美な側面もかなり大きいからちょっとその辺が危ういな、とも感じる(劇中、警官が運転してる女性を呼び止めて暴行みたいなのが罷り通っていたみたいな話がある)。
暴徒化した市民たちの私刑を恐れるレイプ犯たちの姿がちょいちょい映るんだけど、被害者はその恐怖を味わい心身ともにずたずたにされて最後は亡くなったと思うとやりきれん。

ダンガル きっと、つよくなる

レスリング選手として夢半ばで競技辞めた父親が息子に夢託すつもりだったけど子供は4人みんな娘で、バカにしてきた男子ボコボコにした娘たちに才能を見出し、レスリング選手として鍛えるインド映画。
実話が元になっている。
2時間40分くらいあってかなり長いけど、親子のスポ根王道ストーリーでありながらインドの社会問題(男尊女卑)にも上手く切り込んでいてなかなか面白かった。
恋愛要素も特になしで、見やすい。
児童婚とか女たちが家事育児以外になにもさせてもらえない奴隷状態っていうのは、かなり根深い問題みたいでこの映画でも批判的に使われていた。
決勝戦を控える娘に父親が「強制的に結婚や家事や育児をさせられているインド中の少女たちに勝利をもたらすんだ。明日お前が戦うのは、男尊女卑の思想を持つ全ての人々だ」ってはっきり言い切っていて、清々しかった。
姉妹、特に長女の人は元選手かって感じの試合の臨場感。
でも演技も上手いし、ちょっとググったら普通に役者さんみたいでレスリングの特訓を受けたってだけみたいだ。
試合シーンも全部自分たちらしい。
親父役の主演の男性も劇中の加齢による体格の変化がすごかった(30kgくらい太ったらしい)。

ソニ

とにかく短気な女性警官(ソニ)と、冷静な女上司の二人の日常を切り取ったインド・デリーが舞台のネトフリオリジナル作品。
静かで雰囲気映画みたいな感じかと思いきや、女性たちの日常がどんだけ生きにくい女性蔑視に溢れてるかがじわじわ伝わってきて凄いよかった…。
冒頭から、自転車乗ってる女(ソニ)を冷やかして付け回すクソみたいな男が出てきたけど、ソニがブチギレて男をぼこぼこにする。
小さい女の子がトイレに行こうとするのに、女子トイレを占領してドラッグやってる若い男たちに我慢ならず殴りかかったり。
本当クソみたいなセクシスト男があたりまえにぞろぞろ出てきて、女の日常がどんだけやばいかすごく分かる。
日常の中で流れてるラジオからは女性専用バスの告知みたいなのが頻繁に流れてて、女性たちがどんだけ生活の中で抑圧されてるか、じわじわ見てる側に知らしめてくる手法が上手かった。
それでもソニは警官で腕っぷしも強いから立ち向かえる(っていうかすぐブチ切れる)けど、立場上それがかえって仇になってるっていうのがつらい。
つきまとうソニの元夫(なんかひどいことしてソニを傷つけたらしい)、やり直そうと切り出したらソニにどういう神経してんだ、ふざけてんのか、ってバッサリ切り捨てられててそこもよかった。
ただの雰囲気映画だと、そこで意味なくセックスとかしてグダグダに関係持ち続けがちだし。
最後の上司のひと仕事にソニへの思いが詰まっててカタルシスもあってホッとした。
ちゃんとソニと上司の絆が最後まで大事にされてたのが嬉しかった
最後の本がよく分かんなかったけど、あれは実際のなのかな。どういう内容なんだろう。

パッドマン 5億人の女性を救った男

妻の不衛生な生理用品(っていうかただの布をひと目に触れないように干したもの)を知って、ナプキンの製造に人生を捧げた男のインド作品。
とにかく、インドではナプキンはアホみたいに高くて、生理中の女性はベランダのような隔離された場所で生活しなければならず、妻のためにナプキンを作ろうと試行錯誤しまくるけど、それがかえって妻を追い詰める結果になったり…。
夢みたいなのどかな場所で試作品のナプキンを包んでるのはウケた。
すんごい美女との淡いロマンスみたいなのがいかにもこてこてでちょっと微妙だったけど、まぁおっさんからは何も手は全く出してないし最終的に世界中で評価されて、離れていた妻とより戻してハッピーみたいな終わりだった。
ネトフリドキュメンタリーの「ピリオド 羽ばたく女性たち」はナプキン製造マシーンの実際の役割に焦点あててるから、パッドマン見た人はこっち見るとよりインド女性の実情わかって面白いと思う。

デュオ

いまいち冴えない女性がやっと手に入れた新車を悪党に盗まれて、傲慢な詐欺師の男の力を借りて新車を取り戻すっていうコメディタッチな作品。
これもネトフリオリジナルのインド作品で期待したけど、ビックリするくらいつまらなかった。
本当ただ盗まれた車を取り返すってだけの話で、コメディ的な要素(ギャングのボスがヤギを溺愛してるとか)の何が面白いのか全然分かんなくていまいちだった…。
男女で組んで恋愛的に発展せずバディな感じのまま終わったのは良かったかな。
これまで見てきたインド作品が、社会批判をちゃんと盛り込んでて見ごたえあったから、これもそういう部分があるのかな、と思ったけど特に何もなかった。
私は偉そうな男が死ぬほど嫌いなので、そういう点でも余計に楽しめなかった。

海底47m

サメ映画。
彼氏に振られた慎重派な姉とパリピな妹が現地のチャラい男(ちょっと危ないことして女ビビらせてイキるようなクソ男)の誘いに乗って、デカいサメ見るために檻の中に入って海に沈む話。
サメ映画はサメ以外の人為的ミスがとにかく危険ってことがよくわかる。
海で調子に乗るのは死を意味するので、実はうぇ~い系と海ってものすごく相性が悪いんだね…。
最後、謎のホラー展開。

イン・ザ・トール・グラス -狂気の迷路-

背の高い葉っぱの中で迷子になるネトフリオリジナルのホラー作品。
全然面白くなかった!
みんな「待って」って言ってる人を待たないで勝手に行動する。
犬も死ぬし、ホラー部分も怖くないし、セットの謎の岩もしょぼくて、変な男たちが妊婦の女性巡って殺し合いしたりして、逃げればいいとこも逃げないでただ騒いで見つめてたり色々残念。

月影の下で

タイムトラベルサスペンスみたいなネトフリオリジナル映画。
9年ごとに現れる女が人々を殺していくので、それを警官が何十年も追っかけるっていう話。
人の死に方が脳みそが溶けて顔中から出血するっていうグロさで、なかなかそこは良かったし、映像も派手だったし飽きなかった。
ネタバレすると、未来で大勢が死ぬ戦争のタネになる過激な思想犯を未来からきた女が1人ずつ殺していくんだけど、その実行犯が実は警官の孫で、最後に主人公は結局女の行動を受け入れて家族としてやり直そう!テロを防ぐ重大任務を担う私を育ててね、未来に向かって☆みたいな感じがホラーだった。
女捕まえるためにもう何日も風呂入ってないし豚の血にまみれて汚れきった主人公が新生児抱いてるの見て、それやばくね?ってなった
シングルファーザーなのに娘放ったらかしで呆れられ、結構やべーとこまで主人公の人生がぼろぼろに崩壊してたけど、最後主人公的にはハッピー、物語的には奇妙な感じのとこに落ち着いたのはちょっと物足りなかったかも。
個人的には徹底して崩壊していく様が見たかった。


ドキュメンタリー・その他

相撲人

相撲やってる女性追ったネトフリオリジナルドキュメンタリー。
20分に満たないドキュメンタリーだったけど、女子相撲への差別とか男尊女卑、世界大会の決勝の手に汗握る様子とか詰まってて面白かった
映像もドラマチックで綺麗。
女子相撲の選手が活躍して世界に広まっていったら、一緒にジェンダーに対して戦っていく人たちも増えていくことに期待してるって女性は答えていた。
変なドラマに金かけないで、せめてこういうのを日本のネトフリが作ってくれればいいのに…。

運命の子供たち S1

原題はDaughters of Destiny。
インドの最貧困の少女たちが完全寄宿制の学校(カースト最下層の子たちが4才くらいで入学し(1家族1人まで)、就職するまで学校がサポートする)で生活して卒業する様子などを数年に渡って追ったドキュメンタリー。
インドの色んな差別問題、それだけにとどまらないそれぞれの家庭が抱える問題を子供たち目線で問いかけてる。
貧しい暮らしをする家族にとっても最貧困を脱する唯一の希望となる少女たちだけど、いい大学や就職先を得るためにとにかく高い学力が求められる。
学内ではフェミニズムや身分制度についてリベラルな教育を受けるが、地元に帰ると閉鎖的な環境で親族に結婚したら苦労するぞとか言われて、子どもたちも混乱して苦労している。
入学してる女子生徒たちは14歳くらいで結婚しろと言われる児童婚の問題も深刻。
この学校を出た子は、自分の夢のために生きるより貧困の連鎖断ち切るために家族を養うことを期待されてそれが義務みたいになるので、その重圧と戦わなきゃならない。
全4話で一話一時間くらい。フェミニズム要素がかなり濃いのでおすすめ

レディーファースト: ディーピカ・クマリの挑戦

インドのまだ若い女性アーチェリー選手のドキュメンタリー。
男尊女卑のひどい貧しい片田舎出身で、世界ランク一位になっても両親は娘にスポーツさせたことでいまだに批判されてる。
アーチェリーはメンタル勝負らしく、男尊女卑社会だとどうしても自信がもてず、海外での大きい勝負で弱気になってしまい、競り負けてしまう。
二回出場したオリンピックがまさにそういう感じだった。
リオのオリンピックでインド代表に帯同したのが、メンタルコーチとか栄養士やトレーナーじゃなくて、なんと2人の官僚と調理師…しかも選手はエコノミーで官僚はビジネスクラス…闇がやばい。
短めのドキュメンタリーだけど、インドの男尊女卑に焦点当てていてなかなか面白かった。

シティ・オブ・ジョイ ~世界を変える真実の声~

戦争で荒廃したコンゴで性暴力受けた女性のために設立された保護施設のドキュメンタリー。
鉱業を巡る経済戦争で、鉱山の近くではレイプが頻発し、そこから人が去るのでその場所を兵士たちが占領するので、レイプが「武器」になっている。
コンゴの紛争鉱物が精製され売られる企業先には任天堂、ソニー、シャープ、東芝、キャノン、ニコンなど日本企業の名前が多数連なっていた。
レイプの被害状況は内蔵の損傷激しく、生死をさまようようなものまであって凄まじい。
戦争の中、被害にあった女性たちが自信を取り戻して施設を巣立っていく。
被害体験は壮絶だが、自信を取り戻した女性たちが生き生きとしているのが印象的。