田舎で底辺暮らし

孤独に生きながら雑多にあれこれ書いてます。

Netflix「攻殻機動隊 SAC_2045」S1の感想

ネトフリで配信された攻殻機動隊の新作を見ました。
視聴しながらTwitterでぶつぶつ呟いていたので、記事にまとめます。
ネタバレも含まれてると思うのでご注意を。
もし、今作が気に入ったという人は見ない方がいい内容の感想というかツッコミになってると思います…。
それくらい、ちょっとやばかった。

作品全体的にジェンダー観が周回遅れでかなりキツい

まず、これはみんな思ってると思うけど、素子のビジュアルがなんでこんな安っぽいエロゲCGみたいなことになってるのか
本当そこが気になりすぎて…
なんで中学生みたいなロリ顔にしたんです?
草薙素子
少佐の唇だけ常につやつやぷっくりピンクでキモい。
他の男性キャラなど全てこれが基準ならともかく、男性やモブキャラは普通の顔のバランスなのだ。一部の若い女たちだけこの奇妙なエロゲ的ロリ顔が適用されている。

今ってゲームのCGがもう実写超えてるみたいなレベルで、そこ見慣れちゃってるから、ロリマネキンみたいなぬめっとひょろい少佐をほらカッコいいでしょ的に出されても、しょぼさのほうが目立っちゃって…しかも未来設定のアニメでこれやられるときつい。

あと、電脳だの義体だのって世界で、庇髪で和服の女ロボが三指ついてこてこての下女やってるお店に黒服の男従えて政府や企業トップのおっさんらがこそこそ話する、そのシチュエーションはいい加減アップデートできんのか
攻殻機動隊の仲居
受付やケア要員がこういういかにもオタク向けビジュアルの女ロボット(というかセクサロイド的)って、全然未来感ないし寒すぎる
攻殻機動隊のメイド
要注意人物の担当介護士も若い生身の女だった。

こういういかにもオタク向けビジュアルな可愛くてエロい女ロボが戦闘化するのって、ARISEでもあって苦笑いって感じだったんだけど、これって制作してるおっさんたち的にはなかなかイケてる未来的な絵面なの?

他にも、日本政府のジジイ(荒巻)にアメリカ政府のやり手の女(若くて美人)が秋波を送ってすがる的描写が、なんともおっさん的でイタい



セクハラ総理大臣

攻殻機動隊の総理大臣01
攻殻機動隊の総理大臣02
攻殻機動隊の総理大臣03
攻殻機動隊の総理大臣04
総理大臣、少佐に会った途端これ。
いや、特殊部隊とか関係なく普通にセクハラだしキモいからやめろ!
なんなんこれ…

あと、日本で生きてる人間だと、この総理大臣の分かりやすい愛国表現がめっちゃ既視感ある…。
攻殻機動隊の総理大臣06
攻殻機動隊の総理大臣07
攻殻機動隊の総理大臣08
総理大臣は真面目であるみたいな描き方したいのはわかったけど、かえって超胡散臭いことになっている。
だって、現実で同じようなこと言ってる人間が腐敗政権のトップとして居座っているんだから。

そして、総理大臣の妻もエロゲロリ顔。
だから、少佐にセクハラかましたのか?
攻殻機動隊の総理大臣と妻

政府案件の説明なんだけど、こうやって生活保護の不正受給なんてことを25年先の未来のネタにしちゃうあたり、すげー現代なんだよ…。
攻殻機動隊の会議シーン
こういうの、痴漢冤罪並にお手軽で使いやすいんだろうけど、反吐が出そう。

新キャラ「江崎プリン」というおっさんの義体

このキャラがマジでやばい…
ちょっと前にゲートウェイ駅の案内駅員のAIが女ジェンダーに対するダメダメっぷり満載でぶっ叩かれてたけど、あれを悪い意味でアップデートさせて投入しましたみたいな存在。
江崎プリン
喋るときにすんごいくねくね動く。怖い。
空港の江崎プリン
歩み寄る江崎プリン
考えてるときのこの人指し指といい、歩くときのこのくいっとした手といい、あざとさが凄くて、オッサンが考えた女の動き感がやばくてウケる。
このアニメ、モーションキャプチャーらしいのだが、CGは悲しいくらいしょぼいけど動きは妙な人間臭さがあって、誇張してて大げさなので着ぐるみの演技を見ている感じがしてくる。

プリンはなぜかバトーのファンで、何かと彼に纏わりつくのだが(彼女の経歴的になぜ少佐じゃないのか謎)、超キモいセクハラじみたセリフを放つ。
江崎プリンのセクハラ
こんなのが未来に生きてる女の言動だと思って作ってるとしたら、マジでキツい…

これはセクハラが大したことないって思ってる色んな意味で「オッサン」側が作り出した都合のいい女像だからこんなこと平気でキャラクターに喋らせるんだと思う。
ピンクの髪で目がでっかくてくねくねしながら子供みたいな大げさな動きで自分のことをプリンって名前で呼んじゃう秀才のかわいい女という皮を被った「オッサン」。
オッサンの義体がプリンというのが一番しっくりくる。

バトーに懐く可愛いポジションはタチコマで十分なのに、そこと立ち位置が完全に被ってて、何のためのキャラなのかよく分からないのに出番がやたら多い。
作中にうんざりするほどばら撒かれたあざとさは伏線で、後々バトーの命を狙う刺客だったくらいのことがないと、ただチープな萌キャラ投入してみたってだけになるが、本当にただ投入しただけなんだろうと思う…。

あと、少佐でもあの奇妙なロリ顔ビジュアルで違和感あって周囲と浮いてるのに、プリンの萌え的な強烈ビジュアルは当然めっちゃ浮いてる。
女の新キャラ投入するなら、もっと他にやりようがあったのでは…

思いっきり現代な未来

途中、不満を抱えた老人たちが銀行強盗するエピソードがあるけど、これも色々ヤバい。
老人だらけなのに海外の富裕層を呼び込んでまあまあ経済は回ってますって設定に、富裕層はもう日本こねーだろってツッコむ。
銀行入店の際のパスワード入力に手間取っている老人の代わりに警備員やらが代わりに見て打ち込むんだけど、それいいのか?
ATMが貯金額を大声で読み上げて、周りにばれちゃってるしセキュリティもクソもない。
スイスへ安楽死ツアーしにいくために300万の大金を下ろしにきた老人(夫が大学教授でのほほんと奥様やっててお金のこと何にもわかってませんという、また現実離れした妙な設定)とか、年金を仮想通貨に突っ込んで溶かす老人とか、それ現代じゃん!
そもそも、25年後に年金制度まだあるんだ…みたいな。
今でさえ死に際にもらえるかどうかみたいになってるのに。
他の爺たちも、電脳だ、義体だって世界で、孫のランドセルや墓の話をしている。
攻殻機動隊の老人01
攻殻機動隊の老人02

そして、25年後もまだスマホだった…。
バトーと老人たち

これ、現代だよね?



今更感がすごい厨二病少年

後半の方で「ポスト・ヒューマン」っていう脅威的存在に変化してしまった少年・タカシの行方を追うんだけど、その少年の悲劇?を演出している少女たちというか女性の扱いがマジで陳腐。
タカシは内気でいまいち冴えないが心優しき少年という設定なんだけど、何部屋もある広い家に住んでて、ゲームばっかして厨ニヒーロ像に耽っている。
彼には優しくて好物の巻きずし大量に作ってくれるシングルマザーの母親がいて、今回の件で警察沙汰になり「我慢させすぎたのかな」「ごめんなさい」と亡き夫の遺影の前でその母親を泣き崩れる…うーん。
土曜の昼に再放送されてる2時間ドラマって感じだった。

そして、タカシが片思いしてるクラスの優等生(ロリ顔の眼鏡っ子)が、悪辣な生徒指導の男性教師に皆の前で生徒指導室に呼び出され強姦されるみたいなシーンがあるんだけど、この時の少女の無地の真っ白なパンツとスポブラという苦笑いしちゃういかにもな下着姿とか、その後自殺って流れも、分かりやすい少女の悲劇(チョイエロな下着姿も出せるし)と内気な少年のエモさが美味しいって思ったんだろうな的な浅さしか感じなくてきつい…。
昨今のレイプ被害を扱う良作では、直接的な女性の被害シーンや露出は描かずに性犯罪の恐怖を表現するのが上手いやり方だから、余計にこれは「下手」だと思ってしまった。
しかも、タカシにくっついてる謎の女の子の「お兄ちゃん」呼びといい、下記のキャプ画のようなロリ顔ばっかでてくるから自分が一体なにを見てるのか分かんなくなってくる。
攻殻機動隊の少女

さらにツッコむと、タカシの実家と預けられてる親戚の家との格差が凄まじくて笑える。
内気なゲームオタク少年が、親戚宅に預けられて間もないのに少女の忠告を無視して無断で住居侵入し窃盗をやらかし、怪しげな大人にほいほい近付いていて、危険に自ら首を突っ込む。内気どころかかなりアクティブだ…。
あと、鬱蒼とした山奥なのに幼い女の子が場違いなワンピース姿で少女の表象があまりにこてこて過ぎないか…。

他にも、このエピソードで、山奥で密かに警察関係者が殺人・遺棄するのだが、パトカーやらでぞろぞろやってきて警察の制服やらスーツ姿でせっせとスコップ使って、見つかったら大慌てって、もうその時点でツッコミどころ多すぎて見ててストレスがすごい。
しかも、地元の警察使ってるのに、近隣の小さい子供がほいほい来れる距離のとこでやっちゃってるって、見つけてくださいと言ってるようなものでは。

その他

他にも気になる点がちょこちょことある(笑)

・待合ロビーかよってくらいソファがある一般家庭の一室
一般家庭の一室

・土足部屋設定(少佐たちが事情聴取に入ってきて玄関の外まで靴はいたりする手間省いてスムーズに動かすためだと思う)なのに、遺影に向かうためにスリッパで床に正座という妙なことになっている
遺影の前

・少佐たちが戦闘した凄腕の男がバスローブだけ羽織っててくるくる回るからひらっとめくれて股間も一瞬見えたけど、ぬるっと何もないマネキンみたいになっていたので見てる方としては義体だなと思ったら、少佐たちは生身だ!と騒いでて、え???ってなった。股間はどこへ?
ビジュアル上の処理と実際の設定が合ってない。

・野ざらしにされてる死後2ヶ月の死体がどう見ても汚れたマネキン姿でしかなかった…
・EDは微妙。エアロビしてんのか?みたいな少佐のイラストがいくつか流れてくる。

良い点もなくはない。
・メカとか市街地の感じは人のビジュアル表現に比べるとそこまで悪くはないので、タチコマと戦車などのアクションシーンはCG技術を活かしてて、それなりに見応えがある
・タチコマの可愛さは増してる
・OPはそこそこカッコいい
・光学迷彩はCGと相性良かった
・少佐の声はカッコいい。声だけはカッコいい…

最後に

国家というものは多少ヤバいことはあっても大抵はまともであるという前提での社会から見た未来像として作られた20年近く前のアニメのノリを、もう腐敗しきってる長期政権の現代で、体制側の話をカッコつけてやられても、色々歪みが出てて寒々しいほとスベっていた。

しかもその間にジェンダーギャップも地の底にまで劣化してるから、その感覚のままキャラやストーリーが作られてて、せめてそこくらいまともに現代で作る未来像としてアップデートしててほしかったとこなのに、そういうとこほど現代日本の駄目な価値観が丸々出ちゃってて、目新しさどころか古臭さが凄かった。
S1は思いっきり続きますという終わりで、後編がS2になると思うんだけど、CG含めてこのチープさを立て直すつもりあるのかな。
せめて、少佐のビジュアルだけでもS1と別人になろうと「大人」にしてほしい。
あまりにひょろいマネキン体型であの制服姿も子供が着てるみたいで全然似合ってないんだもん。

見れる環境の人は見て、あれこれ言って欲しい……このストレスを共有したい

もうちょっと楽しめるかと思ってた新作が期待はずれだったので、口直しに映画版の「GHOST IN THE SHELL」を改めて見ました。
素子の首太めでがっしり重そうな体型やきりっとしたかっこいい顔が単純に好きだな、と思ったり。

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