田舎で底辺暮らし

孤独に生きながら雑多にあれこれ書いてます。

【感想】Netflix「呪怨 呪いの家」はおっさんマインドに呪われた家だった

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Netflixはしょうもない日本の作品作るくらいなら、超怖いジャパニーズホラーをやればいいのに~と以前から思ってたので、Netflix版呪怨を知って結構楽しみにしてたんですよ。
で、一気に見た感想ですけど…

だめだこりゃ…
って感じでした。
やはりNetflixだろうとホラーだろうと、日本で作るとこうなっちゃうのか。

私は小学生のときはホラー漫画雑誌をなぜかよく読んでて、高校生くらいのときにはホラービデオをレンタルしては一人でもよく見てて、ホラー小説もちょいちょい読んでました。
今もホラー作品は好きです。
なので、わりとホラー耐性はあるほうだと思いますが、今はどっちかっつーとホラーをコメディ的に消費しちゃうようになっちゃって、怖さの塩梅が期待ほどじゃなかったこと自体にはさほど文句はないです。
(それでも、もうちょっと怖いかと思ってたけど…)
寧ろ、それ以外の部分がヤバかったというか、そのせいでホラーがホラーとして機能してないというか、現代でリメイクする意味が全く感じられない作りでした。



主人公の心霊研究家とは別に、聖美という母子家庭で家庭環境に恵まれない不幸のど真ん中みたいな女子高生がメインで出てくるんですが、まず、この聖美がやたら美人で、スタイルも良くて庶民をやらせるには結構厳しいというか、貧乏な身なりをしてても着崩したオシャレに見えちゃう。
セットしてない髪も無造作オシャレヘアーに見えちゃう。
芸能人的美しさというかスタイルが良すぎて、後々の寂れた子持ちの人生設定に無理がある…。
この人だけじゃなく、殺されちゃう主婦とか妊婦とか、庶民の役としては不釣り合いに綺麗で痩せてる女性ばかり。

こういうホラー作品で見せて欲しい怖さって、日常に潜む奇妙さとか不可思議さっていうんですかね。
そのへんにいる普通の人が、常識では理解できない不気味な現象に巻き込まれていく、その不気味さをいかに人間が作った感を出さずに見せるかが怖さの肝だと私は思ってて、理解できない不可思議であればあるほど怖いっていうか。
生きてる人間があっさり理解できる不可思議(呪い)だと、いかにも人間がホラーとして作りました感出ちゃうじゃないですか。
その作りました感を極力薄めて、リアルな不可思議さにしてほしいんですよ。

だから、美人の役として美人を出すならともかく、日常感を見せる庶民役はより凡庸な見た目の人の方がホラー的には怖いんですよ。
一般人にしては美人とかじゃなく、いかにも分かりやすい芸能人的な可愛い・美人な人を出されると、制作陣や事務所の思惑がはっきり見えるじゃないですか。
意味なくたまたま美人だったなんてありえないですよ。美人だからキャスティングして出してんですよ。
そこにめっちゃ陳腐な人間臭さが漂ってる。
あと単純に綺麗な人だとよっぽど演技が上手いとかホラー演出が上手いならともかく、見た目の情報として造形の良さ(要するに顔とかスタイルの良さ)が目立っちゃって怖くない。

ほんで、このドラマはその綺麗どころの聖美が謎に着替えるシーンでばっちりブラ見せてたり(なぜこういうフィクションの女子高生ってブラウスの下がブラだけで、肌着を着せないんですかね。ブレザーの上着きてたからそこそこ肌寒い時期だと思うし、88年の時代設定、しかも母子家庭で貧乏そうなのに真っ白なブラw)、しょうもない露悪的なレイプシーンやらされたり、売春としてセックスシーンやらされたり、別に見せる必要もないようなエロシーンをいちいちやってるわけですよ。
マジで、これらがめっちゃしょうもないこてこての古臭い見せ方でがっくりきました。

女の描き方も欠伸が出るレベルで古臭くて、聖美を淫乱と罵りながら娘の担任教師と関係を持ついかにも下半身だらしないっぽい母親とか、聖美を騙して男にレイプさせて脅迫材料のために写真取る女の同級生とか。
あとやっぱ聖美の描かれ方が手垢まみれすぎて、レイプしてきた男の恋人になって母殺させたり、その後もレイプ犯と一緒になぜか生活しててDV被害をうけてたり(レイプしてきた男利用して母親殺す度胸がある女が、なんでずっとこの男と一緒にいて大人しく殴られてんだ。てか、あんな美人で打算的ならマシな男引っ掛けられるだろ)、でも息子である俊夫のことは妙に愛してたり、なぜか外国人労働者相手に売春してたり(いかにも底辺アウトロー感を出しましたっていう雑さ)、聖美を都合よく娼婦にしたり聖母にしたり魔女にしたりの描き方にいかにもなおっさんの欲望が宿ってて、本当やばい。

こういう分かりやすいおっさん的マインド(監督もプロデューサーも脚本も男ばっかりではあった)なシーンが随所にあって、幽霊よりもはっきりとおっさんがみえるんですよ。

女子高生、レイプ、娼婦、子宮、妊娠、監禁、幼女殺人、使用済みコンドーム!
安っぽい手垢まみれのサブカル的エロをイケてると思ってるのがびんびんに伝わってきて、かなりつらい。
それ、むしろ全然怖くないやつだから。
あえてを狙うならともかく、ホラーに手垢まみれなエロを混ぜると、途端にB級になるだってば~ってのをど真ん中でやってて、マジ?みたいな。
しかも呪いの家を出してオムニバスでやれる自由度もあるのに、こんな風にしちゃうのかぁ。

エログロやりたいなら、男を裸にひん剥いてグロシーンやれるチャンスあったのに、それはやってないのも、このヤバい感覚で作ってたらそりゃ納得っていう。

いま海外の面白いホラー作品って、従来のホラーにおける古臭い描写(綺麗で若い女性が悲惨なエロまじりで怖い目にあうみたいな)を逆手に取って、いままで見て見ぬ振りしてた男たちのマッチョ意識やホモソーシャル、ミソジニーが招く悲惨さとかを既にホラーのネタにしてやってたりするから、ホラーだからって古臭くていいなんてこと全然なくて、2020年のホラーをやらないと駄目なんですよ。
古臭い時代を描くにしても、今の時代のホラーの見せ方があるのにそれ放棄しちゃったら、別にいまやる意味ないじゃんていう。
寧ろホラーだからこそ、いままで散々ホラーの名の下にやってきたこてこての古臭いものにはセンシティブに向き合わなきゃならないとこなのに、またホラーを言い訳にしちゃって雑に同じこと繰り返してて、時代が進んでる分余計に古臭いだけのものになっちゃってて、ホラー好きとしては超がっかり。

おっさんマインドな安っぽいエロシーンをあちこち散りばめたせいで、せっかくのホラーを殺してしまってるかなり残念な出来上がりだった、というのが個人的な感想です。
最後は、女にとっては幽霊より変質者が怖い(どんな幽霊より物理で襲ってくるブリーフ男がそりゃこえーよ)っていう超現実的なオチになっちゃってたんですが、こんな感じのままS2に続くみたいですよ。

他に細かいこといえば、聖美がレイプ被害にあった家を被害後そのままうろうろ探索してなぜか押入れに閉じこもっちゃったり、なんでかみんなふらふら夜中に徒歩で呪いの家に行けちゃってて、そんな近所なの?とか、胎児の特殊造形のクオリティとか、怖く見せたいがために登場人物たちが意地でも部屋の明かりをつけずにみんなが節電生活しててじわじわくるのとか、色々詰めの甘さもちと気になりました…
あと、テレビの時事ニュース紹介の流れがやたらあってくどいし、女が男にお茶出すシーン多すぎw

あ、過去のホラー番組として夏木ゆたかを出してるのは大正解だと思います。
あと、エンディングの雰囲気はとても好きでした。
不思議な曲が流れてて。
以上!

追記

名古屋妊婦切り裂き殺人事件のこと私はよく知らなくて、あの妊婦殺害のとこ、フィクションだと思ってた。
Twitterでみんなの感想見てたら、実際の事件のことを知り、これをネタとして…というか確実にしてるんだけど、それでああいう表現だとしたら、まじのまじでクソじゃん。
幼児暴行の扱いもはぁ?って感じだったけど、サブカルエログロをかっけーwwwってやってるだけのアホなあっさい幼稚なノリの駄作では…