田舎で底辺暮らし

孤独に生きながら雑多にあれこれ書いてます。

Netflixのホラードラマ「真夜中のミサ」の感想とネタバレ

最近配信されたNetflixオリジナルのホラー作品「真夜中のミサ」を一気に視聴しました。
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ライリーという男性が飲酒運転で死亡事故を起こしてしまい、4年の刑期を終えて故郷の小さな孤島に帰るところから始まります。

両親は熱心なキリスト教信者で、島民はみな知り合いという閉塞的な場所。
ライリーは飲酒運転で少女を轢き殺した罪悪感に苛まれながら目的もなく故郷へ戻ってきて居心地の悪さを抱えているのですが、自分と同じように島を出ていた幼馴染のエリンが妊娠して一人で島へ戻ってきていることを知り、二人は親しくなります。

一応、このライリー(とエリン)がメインってことになるのかな。

この孤島には随分立派な教会があって、本土で病気療養中のプルーイット神父の代理としてポールという神父が新しく赴任してきます。
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人当たりがよく献身的なポール神父。

彼が来てから、島民には様々な「奇跡」が起こるようになります。
脊髄損傷で車椅子を使っていた少女が歩けるようになったり、認知症だった老女がどんどん若返っていったり、ひどい腰痛に悩んでいたライリーの父も元気に漁へ出られるように…。
島民はこれらの「奇跡」を目にしたことで熱狂するように信心深くなり、多くの島民が教会のミサへ足を運ぶようになります。

一方でこの熱狂を招いたポール神父はいきなり倒れたり体調不良を理由に日中外へ出てこなかったり、奇妙な様子をみせます。
神父と禁酒会を開いていたライリーはこれらの事態に疑問を抱いたことで、衝撃的な事実を知り「奇跡」の実態に巻き込まれてしまいます。

盲目的に神を信じて奇跡を手にしようとする人間の危うさと、島民たちが得た救済の先にある混乱と恐怖を全七話で描いています。


ネタバレと感想

小さな孤島の不穏な宗教ホラーという部分は、最近見たミッドサマーに似通った部分があります。
(ミッドサマーのようなジェンダー批判的な視点は希薄でしたが)
ミッドサマーの恐怖は全部人間の仕業でしたが、真夜中のミサは完全に人外の「天使」が実態として登場します。

実は「天使」とは名ばかりで、人の生き血を啜る吸血鬼そのもの。
ポール神父はこいつに襲われたときに血を分け与えられ、永遠の命を得た代わりに夜しか出歩けず人の生き血を欲するようになります。

しかもこの「天使」がいかにもアメリカの特殊メイクって感じで、なんでまたこんな分かりやすいビジュアルのクリーチャーを「天使」なんて思い込んだんだ!って言いたくなる悪魔的な不気味さ(笑
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ホラー好きとしてはこの見た目でちょっと笑ってしまって怖さ半減ではあるんですが、海外の人にはこういう分かりやすい感じがウケがいいのかな。

その後神父たちは島民全員を「神」の兵士にすべく画策して、教会が文字通り阿鼻叫喚の血の海に…

まだ正気を保っている少数の人達は逃げ惑いながら、本土へこの恐ろしいパニックを広めないように全ての家屋に火を放ち、船も燃やして日の出と共にみんな消滅していくというラストでした。

吸血鬼と火を放ってのラストって屍鬼っぽくね?と思ったり。
あれも小さい集落の話でしたよね。

ミッドサマーみたいな宗教ホラーとか吸血鬼系のパンデミックが好きなら結構楽しめる作品だと思います。

ライリーとエリンのやりとりがちょっとしつこいというか冗長たったかなぁ(私がヘテロものに全然興味ないから)。
最後助かった子供二人までヘテロカップル単位にしなくてもさぁ…という不満もあります。
あ、人間が容赦なく死んでいきますが前半は犬猫もそういうシーンがあるので、苦手な人は注意してください。

他は女性医師のサラというキャラがちょっとLっぽかったです。
もうちょっとこのキャラ見ていたかった。
あと主要な登場人物にべヴァリーという教会メンバーの打算的な中年女性がいるのですが、この人の醸し出す不愉快さというか、人の弱みにするっとつけ入る胡散臭い演技がとても上手でした。

てなわけで、一気見に丁度いい長さで楽しめました。